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\事例レポート/ 西陣の歴史を訪ねる タイムスリップMAP|京都 個性企画


まちづくりに積極的な不動産会社「株式会社フラットエージェンシー」さんからのご依頼で、

手描き図面工房マドリズ」の大武千明さん(通称ひつじ)と、私「個性企画」で一緒に地図の制作に携わらせて頂いた。


その名は「西陣の歴史を訪れる タイムスリップMAP」!!

ひつじは企画とイラストを担当。私は企画とテキストを担当。
西陣地域にてフラットエージェンシーさんが運営する宿泊施設「京都アートステイ西陣捨松」と「京都西陣ろおじ」で、周辺散策用に配られる地図だ。

 

「京都アートステイ西陣捨松」を中心に半径=徒歩10分の丸い地図。

つまり折り畳むと扇形になる。ちょっとおもしろい形の地図。

■タイムスリップへいざなう

この地図、現在のまちの様子をカラーで描き、昔の様子をセピアで描いている。


ごく普通のまち並みに見える場所も、昔はすごい御殿があった場所だったりする訳で…。

「あぁ、ここには昔、こんなものがあったんだなぁ」というように想像力を働かせて、

タイムスリップを楽しんでもらうための地図だ。

裏面では、まち歩きが楽しくなる豆知識を紹介。

インテリアにも使われる織道具、2階の高さで時代が分かる町家、レトロな町名看板。

知っていると、まちで「あっ!」と気づくことができるのが楽しい。

この地図は宿泊者のみでなく、希望の方は「京都アートステイ西陣捨松」にて入手頂くことが可能。

(午前8時~午後5時)

 

新たな地図を手に西陣のまちを歩き、歴史に思いを馳せてみてもらえたなら…!

■4人の個性が合わさって…

今回のプロジェクトは、フラットエージェンシーの社員さん(寺田さんと浜田さん)と、ひつじと私の4人で何度もミーティングを重ねた。

この地図は4人の相乗効果で出来上がったもの!!

外注を受けさせてもらったという感覚よりも、まさに一緒に価値を共有しながら取り組ませてもらったという感じで、

それがすごく幸せだった。

寺田さんは色々なことをよくご存じの方で、このまちの歴史、文化、行政政策のことなど、楽しそうに話して聞かせて下さった。
私にとって教科書の中の出来事だった歴史が、リアルなまちに次々と紐づけられ、とても興味をそそられた!

 

浜田さんは全体のディレクションが巧みで、ついつい話が広がる私たちに、

「一般的な感覚で興味を持ってもらえるラインで」という制作上の明確な基準を示して下さった。
元々ひつじも私も歴史に詳しい訳ではないので、その等身大感覚をフルに活用し、素朴に好奇心を持てるポイントを地図に詰め込むことができた。

 

一級建築士でもあるひつじは、まちの建物の文化様式などを敏感にキャッチし、

知識がなければ気づかないような点を議論の俎上に乗せてくれた。
そして漫画家を志したことのある彼女のイラストはとても可愛らしく、論理的思考の持ち主なので正確だ。

この地図を通して伝えたいことはすべて、彼女のイラストによって形を帯びた!

 

こんな素敵なメンバーとミーティングを重ねる中で私は、

この地域について何も知らない観光客の方に「おお!」と思ってもらえるオモシロポイントをどこに置くかをずっと考えていた。
自分自身が「へぇ、面白いなぁ!」「すごいなぁ!」と思った瞬間を、

なるべく地図を手にした人にも味わってもらえるように…!
それが今回テキストを担当させてもらう上での目標だった。

■魅力発掘と活性化

私たちが制作に取り組んだのは西陣の一部エリアで、実は華々しい観光スポットが多くある訳ではなかった。
それでもミーティングでつかんだヒントを頼りに、ひつじと実際に歩いてみると…。

 

・知っていれば感じることのできる昔の面影
・大文字山がまっすぐ見えるベストポイント
・レトロ建築がとても素敵な和菓子屋さん
・今も感じられる糸屋の雰囲気 etc.

 

まちの魅力がたくさん見えた!

 

きっと何でもそうだけれど、対象と丁寧に向き合って、魅力を見出すこと。
それは活性化につながる大切なプロセスだと思う。

 

今回、素晴らしいメンバーと一緒に、そのプロセスに携わることができたことが、

貴重であり、とても温かい体験でもあった。

 

プロジェクトがひと段落した今、この地図が、

手に取ってくれた方のまち歩きを味わい深いものにする魔法として機能することを願っている。